子どもや親の悩み・不安に寄り添い
専門知識や経験を生かして
解決への道筋を探る
24時間子供SOSダイヤルなど
川端 康尋
相談員
電話にて相談者の相談を聴き、相手の心情を汲み取りながら相談に寄り添います。
子どもや保護者の悩みを聴き、緊急時には即座に自治体などと連携して、“子どもの自死・事故を未然に防ぐ”ことに努める相談員をご紹介します。
子どもたちを守る環境づくりをサポート
私が担当するのは、「24時間子供SOSダイヤル」(以下、SOS)、「児童相談所虐待対応ダイヤル」(以下、虐待通報)です。SOSは、悩みをもつ子どもたちが、いつでも気軽に無料で相談できる窓口として、都道府県および指定都市の教育委員会が開設しているもので、大人が子どもの状況を把握し、いじめや学校生活に関する教育相談を受け付け、自死や事故を未然に防ぐ目的で設置された窓口です。また虐待通報は、虐待などが疑われる際の通告・相談窓口です。通告内容は児童相談所と連携します。なお、当社は教育相談関連窓口として23県、3区、4市、児童相談所関係窓口として6県、1区、3市の相談窓口を務めています。
SOSは、子どもだけでなく保護者からの相談も多くあります。虐待通報も、第三者からの通告だけでなく、保護者本人からの育児相談が一定数あります。つまり私たち相談員は、子どもに関するあらゆる通告・相談をお受けしながら、子どもがよりよく生き、成長していくための“こころのサポート”と、家庭環境づくりや社会環境づくりの一翼も担っていると自負しています。
子どもの“サイン”を見逃さない
通告・相談の中には残念ながら、「死にたい」という子どもからの電話も少なからずあります。以前、「今から死にます」といって電話をかけてきた子どもがいました。一度は私が受けましたが、電話が途中で切れてしまいました。しかしすぐにまたかかってきたので、別の相談員に対応してもらっている間、私はその様子をモニターしながら、クライアントである自治体の担当者に連絡したのです。警察にもつなぎ、子どもとの会話で特定できた場所に駆けつけてもらいました。電話で話し続けることで、子どもの最悪の決断をくいとめ、無事に保護できたということがありました。このような緊急時には自治体や警察との連携フローが用意されているとはいうものの、一人の命に電話でつながる私たち相談員の責任の重さを感じた出来事でした。
“先進国において子どもの死因の1位が自殺であるのは日本だけ”―と言われています。もっと手前の段階で、子どもたちのSOSをできる限りたくさん受けとめられる存在でありたいものです。私たちが電話をかけてきた子どもの話を、時間をかけて聴いていると、あるタイミングで声色に変化が出て少し明るくなり、話す内容や考え方が良いほうに変化してきたと感じることがよくあります。そうした相談者の“サイン”を見逃さず、悩みや不安の本質を見つけ出し、良い方向へ導いてあげられる役割を果たしていきたいですね。
話せる安心、聴いてもらえる安心を届けたい
私は2019年からチーフに着任し、相談員として受電対応を行うほかに、相談員のサポート、マネジメント、研修対応も行っています。ソーシャルグループには、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師などの有資格者、ベテランの相談員が多く在籍しています。専門分野の最新情報を共有し、資格特有の知識や論理構築、対応手法なども出し合って、相談員同士でスキルアップしています。相談者を支えるためのプロフェッショナリズムを大切に、クライアントの目的も常に念頭に置きながら、相談対応していこうと心掛けています。
私たちのサービスでは、電話だけでなくSNSも活用しています。電話やSNSを通じて悩みや不安を誰かに話し、“聴いてもらえる”という安心感を得て、本人が問題解決の道筋を見つけていけるよう、これからも全力でサポートしていきたいと思います。
Profile
かわばた やすひろ
大学院卒業後、臨床心理士として医療機関に勤務。教育機関でスクールカウンセラーも経験。2013年入社。2019年より、ソーシャルグループ(24時間子供SOSダイヤル、児童相談所虐待対応ダイヤル チーム)のチーフを務める。