導入事例

パラマウントベッドホールディングス株式会社

事業内容

医療・介護用ベッド、マットレス、器具備品等を製造・販売するパラマウントベッド株式会社および、同社製品等の点検・メンテナンスを行うパラテクノ株式会社、福祉用具のレンタル卸をするパラマウントケアサービス株式会社などを傘下に置く総合メディカル事業グループの持株会社(グループ経営戦略の企画・立案・推進、グループ経営の監査、その他グループ経営管理)。

ホットライン利用対象人数

約3,700名

65%がダイヤル・サービスの窓口を活用 「通報しやすい環境」に従業員も安心です

医療・介護用ベッドにおいて国内シェアトップパラマウントベッドホールディングス株式会社。国内グループ会社の拠点、約200箇所で働く約3,700人の従業員が不正やハラスメントを通報しやすい環境を構築するために、ダイヤル・サービスの「企業倫理ホットライン」を導入し、クリーンな経営の実現を目指しています。同社がサービスを導入した経緯や、実際に窓口をどのように運用しているかを企業倫理室のお二人に伺いました。

シェアNO.1企業だからこそ、 クリーンな社内体制を

企業倫理室 中村豊彦(写真右)様

企業倫理室 荒川敦(写真左)様

ダイヤル・サービスの「企業倫理ホットライン」を導入された経緯についてお教えください。

荒川様:2006年4月に公益通報者保護法が施行され、社外の通報窓口が努力義務になったことが導入の直接的なきっかけです。また、同年5月には会社法も改正され、資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の企業は、適正な業務の通報ルートを確保するための体制づくりを求められるようになりました。こうした時代の流れを受け、通報しやすい環境を築き、企業の自浄作用を高めることでクリーンな経営を実現したいと考え、ダイヤル・サービスの導入に至りました。

同業他社のサービスがある中で、ダイヤル・サービスを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?

中村様: 複数社のサービスを比較した中で、ダイヤル・サービスさんは私たちが疑問に思ったこと、聞きたいことにきちんと誠実に答えてくれました。また、「できることとできないこと」をきっちり分けて説明してくれたので“嘘のない”会社だなと思えたことが決め手です。

企業倫理ホットラインを導入した2006年から5年ほどはほとんど通報がなかったものの、2011年くらいからは社内窓口などを合わせ、マネジメントやハラスメントに関する通報が年20件ほど入るようになりました。

2021年ベースで見ると、従業員が通報を行う際、社外の企業倫理ホットラインを利用するケースは社内窓口のおよそ2倍、すなわち通報の約65%がダイヤル・サービスさんに相談しているという結果でした。これは当社の従業員がダイヤル・サービスの内部通報窓口に対して大きな信頼や安心感を抱いていることの証左だと言えます。

荒川様:国内グループ会社の拠点は約200箇所、そこで働く約3,700人の従業員全員がどんな悩みを抱え、どんなことを不満に感じているかを把握するのには限界があります。ダイヤル・サービスさんが私たちと従業員の懸け橋となってくれることで、現場で何が起きているのかを以前よりも把握できるようになりました。

“ダイヤル・サービスさんが私たちと従業員の懸け橋となってくれることで、現場で何が起きているのかを以前よりも把握できるようになりました”

荒川敦様

ダイヤル・サービスならではのメリットや特徴はありますか?

中村様:ダイヤル・サービスさんは通報があった翌日には報告書を送ってくれます。通報者の中には何十分もお話をされる方がいるのですが、その場合も非常に論理的に、筋道を立ててレポート化してくれるところを大変ありがたく感じています。こういう迅速で正確な対応が私たち企業倫理室の手助けになってくれているのです。というのも、通報者は勇気を出して連絡をしてくれているので、そうした想いにできるだけ早く対応するためにも、報告が迅速であると非常に助かっています。

“通報者の中には何十分もお話をされる方がいるのですが、その場合も非常に論理的に、筋道を立ててレポート化してくれるところを大変ありがたく感じています”

中村豊彦様

もうひとつのメリットは、通報者が会社に連絡先を伝えない選択をした場合でも、ダイヤル・サービスさんに氏名や連絡先を共有しているケースが多いことです。この場合、私たちが報告書を受け取ったときはダイヤル・サービスさんを通じて通報者とコンタクトをとることが可能になります。一方、ダイヤル・サービスさんを通じて通報者から私たちに連絡が戻ってくることもあります。このように通報者と私たちの中継役となってくれることに対して、企業倫理室のメンバーも日々感謝しているんですよ。

荒川様:先ほども触れたように、内部通報に関しては会社ではなく外部に相談が行くことが多いのが現状です。従業員にしても、ダイヤル・サービスさんが「“外部”であること」「匿名性が確保されていること」「土日も相談できること」に安心感を覚えているのだと思います。従業員が安心して通報できる環境を築けたのは、大きなメリットですね。

外部に入ってもらっているからこそできる話もありますし、内部だけでは洗い出せなかった問題を見つけられるのも導入して良かった点と言えます。

実際に通報があった際の、窓口の運用実態や体制について教えてください。

中村様:例えば金曜日に通報があった場合、土曜日にはその報告が企業倫理室に入って来るので情報整理をします。そして、ダイヤル・サービスさんから報告書の共有を受けたら、この通報に対してどう対応するかについて月曜日にはすり合わせのミーティングを開催します。

報告書に通報者の連絡先がある場合には、必ず通報者に電話をし、通報の内容を確認します。通報案件がグループ会社の場合の情報共有もしっかり行います。グループ会社と協議する必要がある場合には、通報者から、今後どのような対応をとっていくかの了解を得るようにしています。

通報があった職場で個別のヒアリングをすると、さまざまな話が出てきます。ヒアリングをベースにその場で対応できそうな事案は即解決まで導くのが理想的な動きです。実際に拠点長を呼び、「あなたの責任の範囲内のことだから、きちんと対応してください」と必ず伝えます。

その後は、ヒアリングした内容を一枚の報告書にまとめます。もちろん名前は出さず、「こういう指摘をして、こういう改善をした」という内容をグループ会社の社長に提出する流れです。

荒川様:通報の有無にかかわらず、コンプライアンス研修会で各職場に出向くこともあります。北は旭川、南は沖縄まで飛んでいき、全国に200拠点ある職場内の研修と従業員への個別ヒアリングをこれまで継続してやってきました。コンプライアンス意識を広めるため、ダイヤル・サービスさんへの連絡先を記載した冊子も配っています。

こうした研修会や打ち合わせを定期的にやっていましたので、内部通報に対応する私たちがどのような人間であるかを知っていただく機会にもなっており、それが通報のハードルを少しでも下げているのであれば、無駄にはなっていないのかなと思っています。

従業員から相談受けるスタッフの方も専門知識をお持ちなのでしょうか?

中村様:私は入社後に営業や人事を経て2011年の企業倫理室立ち上げの時に参画しましたので、最初からコンプライアンスに関する専門知識を持っていたわけではありません。しかし、これまでの経験の中で、面接やカウンセリングの手法を学ぶ機会にも恵まれていたため、今現在、多くの通報者とお話しする際にとても役立っていますね。

荒川様:中村さんに比べると私はこの仕事を始めてから日が浅いんですよね。営業として働いてきた経験が長いので、中村さんと同等の知識はありません。必要なことは、実際の仕事の中でOJTのような形で学んでいます。

中村様:ちなみに、当社の企業倫理を担当している社員は全部で3名です。専任が私1名で、残り2名は他部署と兼任している形です。荒川さんも兼任ですよね。

荒川様:私は企業倫理室と総務を兼任しています。ちなみに、グループ各社にもコンプライアンス担当社員を配置しており、これら担当者が協力してコンプライアンスや内部通報に対応する体制になっています。

今年の6月に改正公益通報者保護法が施行されました。こういった動きから御社が認識されていることや、従業員を守る取り組みとして注力していきたい部分は何ですか?

中村様:法改正の目的は企業の自浄作用を高めること、通報者保護を強化することの2点であると言われています。通報者が特定されることのないよう、通報内容の守秘義務の厳格化は特に強調されています。当社ではこれまでも通報者が不利益を受けることがないように細心の注意を払ってやってきました。しかし、これからも今以上に通報者が不利益を受けることがないよう、従業員の信頼に足る対応をしなくてはいけないと感じています。

そのためには、「何が真実なのか」を見極めることが重要だと私は考えています。というのも、内部通報を受け従業員のヒアリングを行うと「自分に不都合なことは伝えない」という事態が多々あるからです。それをすべて鵜呑みにしていたら、真の改善には結びつかないでしょう。なので、真実を見極めるために汗水流して調査を行い、適切な処理をしていく――というのが私たちの使命だと感じています。私たちが適切な調査を行い、真実を見極めることが従業員の信頼につながると信じています。

あと、私は常に従業員に「抱え込まないで」「相談してください」と伝えています。というのも、人間というのは弱い存在で、いくら会社全体でコンプライアンス重視を掲げていても、人がいる限り不祥事はなくならないと思っているからです。なので、私たちは常に油断することなく、コンプライアンス担当者として、従業員がいつでも相談できる存在として、粛々と対応していくべきだと感じていますね。

従業員間で「企業倫理ホットライン」利用を促進するためにどんな活動をされていますか?

荒川様:入社時にコンプライアンス関係のオリエンテーションを開催しているのですが、その際に「企業倫理ホットラインがあるので、何かあれば相談してほしい」と案内しています。あと、社員手帳にも社外の相談窓口の連絡先を記載するなどしていますね。

中村様:私としては、「これ以上の広報はできないのでは」と思うほどホットラインの存在を各所にアピールしています。200近い職場すべてにキャッチコピーや通報先を発信し、先ほど申し上げたようにコンプライアンス研修会を各拠点で開催する際なども「こういう窓口がありますよ」と口頭や冊子で必ず伝えるようにしています。ほかに、毎月従業員に送る「企業倫理室からのメッセージ」などにも、企業倫理ホットラインのことを10年以上掲載しています。

今後、「企業倫理ホットライン」に期待したいこと、改善してほしいことがあれば教えてください。

中村様:強いて挙げるなら、匿名通報に対する対応の改善でしょうか。せっかく通報してくれても、連絡先も何もわからない状態だと、こちらも聞き取りをしたり、対策を練ったりすることができません。なので、匿名通報でも何らかの痕跡が残るように改善していただき、より良い体制づくりに役立てていきたいです。

(内容は2022年9月現在)

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