冬の食中毒の主役、ノロウイルスにご注意を!
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新型コロナウイルス対策で手洗いは十分にしていますが、冬はノロウイルスの食中毒にも気を付けるように聞きました。ノロウイルスについて教えてください。
<A>
ノロウイルスを原因とする食中毒は、一年を通して発生していますが、毎年秋から冬にかけてピークになります。ノロウイルスは、インフルエンザや新型コロナのウイルス、黄色ブドウ球菌などと比べても特に小さいのが特徴です。そのため手指のしわや爪の間などに入り込み、洗っても落としにくく、さらに、乾燥すると空気中に浮遊して感染を広げてしまいます。
2021年の食中毒発生状況によると、患者数ではノロウイルスが最多です。事件数としては全体の1割ですが、患者数で全体の4割強を占めていることから、集団での発生が多いことがわかります。感染すると通常24~48時間前後で嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状が出ますが、ほとんどの場合は数日で回復するといわれています。
主な原因食品は水やノロウイルスに汚染された食品、特に加熱が不十分な二枚貝(カキ、アサリ、シジミなど)です。しかし、実際にカキなどの貝類が原因と特定できた2021年の食中毒の患者数は8名と少なく、調理する人の手洗いが不十分なことが原因のことも多いようです。
感染経路は、ほとんどが口から体内に入る経口感染です。学校や介護施設など人同士の接触が多い場所で人から人への感染や、感染した人が調理して汚染した食品を介して感染が広がることが多発しています。過去には、2017年に複数の自治体の学校給食で発生した「刻みのり」を原因とした食中毒が大きなニュースになりました。のりを機械で刻む工程で、作業者の手からのりにノロウイルスが付着して多くの人が感染しました。
予防対策として、排便後や調理、食事の前には、その都度、石けんと流水で十分に手洗いすることが基本です。手洗い以外にも、まな板や包丁などの調理器具の洗浄もきちんとします。生の二枚貝を触った手や器具でほかの食品を扱わないようにし、触ったらよく手洗いしてください。カキなどの二枚貝を調理する場合は、85℃~90℃以上で90秒以上、中心部までしっかり火が通るように調理します。ノロウイルスは、冷蔵や冷凍にも強いので、よく火を通すことが大事です。生食用以外のカキを食べる場合、高齢者や子ども、体力のない人、あるいは健康な人でも疲れて体力が落ちているときは特に注意してください。
食中毒は、いつでも、どこでも、誰でも起こる可能性があります。食中毒予防の基本に返り、十分に注意して対策しましょう。