11月8日は「いい歯の日」
「子どもが、食べ物をあまり噛まずに丸飲みするのが気になっています。ゆっくりよく噛んで食べることが大切だと聞いたことがありますが、どうしたらよいでしょうか」「ガムやあめに入っているキシリトールは、甘いのに虫歯になりにくい理由を教えてほしい」などの相談が管理栄養士の窓口には寄せられます。
日本歯科医師会は1993年より、11月8日を「い(1)い(1)歯(8)」の語呂合わせでPR重点日と設定し、この日に合わせて国民へのさまざまな歯科保健啓発活動を行っています。
よく噛むと何がよいの?
昔から、食べ物は「よく噛んで」食べるように言われますね。よく噛むと「食べすぎを防ぐ」「消化を助ける」「歯並びが悪くなるのを防ぐ」「唾液により歯が丈夫になる」「脳の機能を活性化する」などの効果が期待できます。
しかし今、噛まない子、噛めない子が増えています。それは、軟らかい食べ物が手に入りやすい、塾や習い事で忙しい、テレビやスマートフォンを見ながらのながら食べ、孤食といった社会的要因があります。子どもが食べ物をしっかり噛んで食べるには、食べ物の味をじっくり味わいながら食べられるような「環境づくり」が大切です。
よく噛むにはどんな工夫が必要?
子どもがよく噛む環境づくりのポイントとして、次のようなことが挙げられます。
噛む機能や能力は、学習や経験によって習慣化し、身に付いていくものです。子どもの食事環境を整え、心と体の健やかな成長によい影響を与えたいものですね。
キシリトールとは・・・
キシリトールは砂糖と同程度の甘さがある甘味料です。イチゴをはじめ、さまざまな果実や野菜にも少量含まれています。工業的にはシラカバやカシの木から抽出される天然成分を原料にして作られます。
砂糖と違って、キシリトールは吸収速度が遅いので、血糖値が急上昇せず、また代謝するのにインスリンを必要としません。そのため、糖尿病の方でも食べられる甘味料として使われてきました。1997年、厚生労働省より食品添加物に認可されています。
虫歯予防にキシリトール?
キシリトールが、虫歯の原因になりにくいとされているのは「酸を作らない」「唾液の分泌を促す」ことが理由です。
虫歯は、虫歯菌(ミュータンス菌)が砂糖などの糖質から酸を作り出し、この酸が歯を溶かすことで発生します。キシリトールは砂糖とは異なり、虫歯菌による酸ができません。さらに、キシリトールの甘さで唾液が出やすくなります。唾液が多くなると口の中は中性になり、虫歯菌の働きを抑えてくれます。
ただし、キシリトールの効果が期待できる菓子は、ガムやタブレットに限られます。これらの菓子には砂糖や水あめなどの甘味料も一緒に入っている場合がありますので、よく確認しましょう。虫歯の予防効果を十分に発揮させるためには、キシリトールが50%以上配合されているガムまたはタブレット5~10gを毎食後に摂取し、これを継続するとよいといわれています。
いつまでもおいしく食事を摂るためには、毎日のお手入れで健康な歯を保つことが重要です。また、歯科で定期的な健診を受け、必要な場合はきちんと治療しましょう。生涯、自分の歯で楽しんで食べられるように80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020運動」も日本歯科医師会では推進しています。