Vol.161 メンタルヘルス

リモートワークとメンタルヘルス

ダイヤル・サービスの提供するサービスは電話相談がメインです。電話相談というと、「相談員は自宅でのんびり仕事ができそう」と思う方もいるかもしれませんが、実際は個人情報の保護や緊急時の対応など、様々な理由により出勤して仕事をしています。コロナ禍の中でも全て出勤して相談対応を行っていました。当時は在宅勤務ができる業種の方を少しうらやましく思ったものです。
 コロナ禍を契機にリモートワークや在宅勤務を初めて開始するという企業も多く、「リモハラを受けた」、「文章だと突然攻撃的になる部下がいる」、「ずっと業務を監視されているようで気持ちが落ち着かない」などの相談を多く受けました。そういった時期を過ぎ、今ではリモートワークが日常的なこととして扱われるようになりました。リモートワークにおける適切な距離感やコミュニケーションなども盛んに論じられるようになり、リモハラという言葉は一段落着いたように感じます。

 一方で、最近は「リモートワークがつらい」「誰とも話をしていない」「孤立感が増す」「自分のペースで仕事ができるのは楽だが、やめ時が分からない」「出社組だけ仲良くしているのが伝わってくる」などといったメンタルヘルスに関する相談が増えてきています。なかには「久しぶりに出社したら体力が持たなくて1日8時間も仕事を続けるなんて無理」という相談もありました。
 出社せずに仕事ができるのは通勤時間の短縮や、休憩や就業時間が比較的自由になるなどメリットが多いと思っていましたが、そうとばかりは言えないようです。自らを律しての自己管理の大切さや、孤立感軽減のためのコミュニケーションの重要性、運動不足からくる心身の不調を解決するための日常的な運動など、工夫しながら調整をすることが大切だと感じます。

 出社したいのに出社させないのはハラスメントだ、という意見もあります。人間が社会性を維持するためには、対人関係における感情のコントロール、正確な自己認識、ストレス管理など様々なことが必要になります。リモートワークをすることで、こうした精神的な負担が軽減する反面、顔を合わせてのコミュニケーションの欠如が招く不安も存在するようです。その結果、モチベーションやチームワークが低下します。
 「他人の目を気にして生きている」というとネガティブに感じるかもしれませんが、他者評価を通じて自己認識を深めていくのは、社会性のある人間として重要な側面でもあります。仕事仲間との関わりが減少することは、自己評価の低下につながり、長期間の孤立状態はうつ症状を引き起こすリスクを高めます。
企業としては、リモートワーク中でも社会的な交流を促進するように配慮し、心理的なサポートを提供する必要があるでしょう。

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