ハラスメント

電話カウンセラーから~孤独な従業員を作らない 第160号メルマガ

2020年6月にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、
パワハラ防止のために必要な措置を取ることが中小企業についても、
2022年4月1日から「義務」となります。
事業主の方々は、着々とパワハラ防止対策を進めていらっしゃることでしょう。

ダイヤル・サービスでは、1997年に日本初のハラスメント電話相談窓口
「セクハラ防止ホットライン」を開設し、それ以降、多くのハラスメントの
相談を受けてきました。その会社の一相談員として、少人数の職場(会社や事業所)
でのパワハラ対策のヒントになるものはないかと考えた時、一番大切なのは
「孤独な従業員を作らない」ことかな、と感じました。

先日、従業員数十人の会社に勤めるAさんから電話が入りました。
Aさんは弱々しい口調で現状を話し始めました。

「先輩から毎日のようにアホ、クズと言われます。今日は『仕事しなくていいから死ね』
と言われました。上司も同僚も先輩の暴言を聞いていますが、誰も助けてくれません。
私がこの窓口に相談したことを知ったら、みんな『問題を起こしやがって』と私を責めるでしょう」

Aさんの心の中は先輩への恐怖と上司、同僚への不信感で占められており、
孤立無援だと感じているようでした。
じっくり話を聴くと、幸い、別の部屋にいる人事担当者は先輩の暴言を知らず
相談の余地があるとわかりました。
相談することを提案したところ、Aさんは「考えてみます」と言ってくれました。
相談が終わるころにはしっかりした口調になっていました。

Aさんが相談員の提案を拒否しなかったのは、相談員と話すことで孤独感が少し和らぎ、
職場内で孤立無援ではないかもしれない可能性(人事担当者に相談できる可能性)
を受け入れる心のゆとりができたからだと思います。

見も知らぬ相談員であってもAさんの孤独感を一時的に和らげることができました。
身近な人であれば、より和らげてあげることができるでしょう。
人の話を聴くのは大変だと思うかもしれません。
でも、心を込めて挨拶をする、ちょっとした声かけをすることなら誰にでもすぐにできます。

人に挨拶した時、無視されて不快な思いをしたことはありませんか? 
相手が上司であれば、職場に受け入れられていないような気持にもなります。
逆に、顔を見てしっかりと返事をしてくれたら、何だか明るい気持ちになりますよね。
簡単だけれども孤独にさせない方法です。

孤独を感じているのはパワハラ被害者だけではありません。
実は、行為者も孤独で孤立していると感じ、自分を守るために攻撃的になっている場合があります。
「孤独な従業員を作らない」ことは、パワハラの予防、早期発見と対応、再発の防止、
全てにおいて役に立ちます。

まずは心のこもった挨拶を、明日から始めてみませんか。

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