Vol.160 食と健康

素朴な味~凍み豆腐~

<Q>
 東北の物産展で凍み豆腐を見かけ、藁(わら)で縛ってあり手作り感が気に入り買ってきました。スーパーで売っている高野豆腐とは見た目が違っています。呼び方以外にも違いがあるのでしょうか。地元ではどんな食べ方をしていますか。

<A>
 凍み豆腐は寒さの厳しい東北地方ならではの特産品です。藁(わら)で数個ずつ縛り、山のふもと一面に干される凍み豆腐は、地域では冬の風物詩となっています。手仕事ならではのぬくもりが感じられますね。

 「凍み豆腐」や「高野豆腐」は作られ始めた地域によって呼び名が違っていたようです。
鎌倉時代に高野山の僧侶が豆腐を一夜冬の寒気で凍らせたものは「氷豆腐」として伝えられました。これを発展させて現在に近い製品にしたものが「高野豆腐」と呼ばれ、高野山信仰とともに関西から広まりました。一方、信州や東北地方で冬の農家の保存食として発達し、戦国時代に兵糧食として広まっていったのが「凍み豆腐」といわれています。製法として乾燥の仕方に違いがありますが、ほぼ同じ食品といえます。現在は、二つの統一名が「凍り豆腐」と呼ばれています。

 地元では、煮しめや汁物はもちろん、炒め物や卵とじ、五目ずしなどの具材に活用しています。中でもしっかりとした食感をいかした揚げ煮もお勧めです。戻した凍み豆腐の水を切り、片栗粉をまぶして油で揚げます。揚げたあと、熱湯をかけてから、少し濃いやや甘めの煮汁で煮ます。まわりのつるっとした食感、コクのあるうまみが味わえる一品です。

 藁(わら)で縛った凍み豆腐は年々生産が減ってきています。手にする機会がありましたら、ぜひその食感とうまみをお楽しみくださいね。

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出典:農林水産省ウェブサイト