Vol.158 ハラスメント

女性活躍推進のビジョンと現実


 企業に対し、女性の活躍を促進するための計画を策定することを義務付けた女性活躍推進法が成立(2016年4月施行)して、今年で9年目を迎えます。日本は世界と比べて女性役員の割合が極めて低く、経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際比較で日本の女性役員割合は15.5%と、1位のフランス45.2%と比較しても他国に大差をつけられ、最低レベルとなっています(「男女共同参画の現状と女性版骨太の方針2023について」2023年11月24日内閣府男女共同参画局より)。

 そのような中、日本政府は2024年6月に「女性版骨太の方針2024」を決定し、東証プライム市場上場企業に対して女性役員の比率を2030年までに30%以上にする「203030」という目標を設けました。また、その中間的な目標として、2025年までの新しい成果目標を「東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合を19%とする」と決定しました。しかし、「女性の登用が進んでいる企業とそうでない企業があり、進捗には差異が見られるのが現状である」と付言しています(「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024」2024年6月11日男女共同参画推進本部より)。

 実際、我が国の女性役員比率(全上場企業)は2013年の1.8%から2023年10.6%へと増加しました。プライム市場上場企業における女性役員の割合でいえば、2023年は13.4%に増加しています。しかし、依然として諸外国の女性役員割合とのギャップは大きく、2023年時点において、プライム市場上場企業の約1割の企業に女性役員が1人もいない状況にあります(男女共同参画局ホームページ女性役員情報サイトより)。

 ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口に届く声の中には、若手女性社員からの「私は上司のような社畜にはなりたくない」「管理職になったら残業代もないのに責任は大きくなるから、昇進はメリットがない」といったような、きっぱりとした考えが聞かれます。人口動態からも若年層の労働力の先細りは必至であり、女性役員の比率を上げる政府目標を達成する道のりは遠いかもしれません。
 女性活躍推進のために女性管理職登用の体制づくりも大切ですが、その前に現職の管理職が若手社員の憧れとなるような働き方をしているでしょうか。ワークライフバランスを保てているか、まずは「一人ひとりが自分の働き方を見直す」ことから始めてみませんか。

ハラスメント・人間関係ホットライン

パワハラ・セクハラなど各種ハラスメントの相談全般に対応する外部相談窓口