Vol.154 食と健康

初午(はつうま)といなり寿司

<Q>
 子どもと料理教室に参加することになりました。2月の初午の行事食としていなり寿司を作るそうです。なぜいなり寿司なのでしょうか。

<A>
 「初午」は、立春を過ぎた2月の最初の午の日のことで、稲荷神の誕生日と伝えられています。全国の稲荷神社では五穀豊穣、商売繁盛、無病息災、家内安全などを願って祭りが行われてきました。

 稲荷神のお使いとして祀られているキツネの好物の油揚げや、稲荷神のおかげで収穫できた米で作った酢めしを油揚げに詰めたものなどがお供えされてきました。これが「いなり寿司」の起源といわれています。初午の日は一年で最も運気が高まる日とされ、この日に合わせて、さまざまな願いを込めながらいなり寿司を食べるのが、初午いなりです。

 「稲荷」は「稲生り(いねなり)」「稲が成る」に由来しています。いなり寿司のはじまりには諸説ありますが、江戸や名古屋、日本三大稲荷の豊川稲荷の門前町が発祥の地として知られています。古くは江戸時代より食べられており、人気が高く手軽においしく食べられる庶民の味として親しまれていたようです。当時はのり巻のように開いた油揚げにご飯を巻いたものを切り売りし、わさびしょう油をつけて食べるのが一般的でした。現在ではしょう油と砂糖で味付けしたいなり寿司が主流になり、年代を問わず、みんなに好まれています。

 寿司の形は東西で異なり、一般的には関東は米俵に見立てた俵型で作ることが多く、関西はキツネの耳に見立てた三角形が多いようです。形を変えて作ってみるのも楽しいですね。お子さんと一緒においしく食べて福を招きましょう。