Vol.150 食と健康

免疫力ってどんな力?

<Q>
 「免疫力を高めて風邪予防」と耳にすることがあります。免疫力ってどんな力ですか。食事ではどんなことに気を付ければよいでしょうか。

<A>
 空気が乾燥し、風邪やインフルエンザなどの感染症が流行する季節になると、「免疫力」という言葉を耳にするようになります。コロナ禍でも話題になりました。
 私たちの体には、外部から入ってきたウイルスや病原菌、異物などに対抗して体を守る働きがあります。これは免疫機能と呼ばれています。実は「免疫力」は医学用語ではなく造語で、明確な定義はありません。ただ、一般的には病気にかかりにくく、かかったとしても早く治る力といった認識ではないでしょうか。つまり、免疫機能を維持し、高めてゆく力が「免疫力」といえるでしょう。

 体を守る力を高めるためには、異物の退治役を担っている免疫細胞を活躍させねばいけません。細胞の活性化と免疫力をアップする食事のポイントを3つ紹介します。

 1つ目のポイントは、退治役を作り出すこと。免疫細胞は、たんぱく質から作られているので、不足しないように肉、魚、大豆製品、卵を毎食の主菜や副菜にバランスよく取り入れます。不足している場合は、納豆や湯豆腐、ゆで卵、生卵など手軽な1品でもよいので追加しましょう。

 2つ目のポイントは、退治役を住みやすくすること。免疫細胞の約7割が腸壁に存在しているといわれます。そのため、腸内の環境を整え、住みやすくすることが大切です。腸の中にはさまざまな腸内細菌が生息しており、善玉菌、悪玉菌、どちらでもない中間の菌がいます。免疫細胞は、善玉菌が優位な環境を好むので、善玉菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、みそ、キムチやぬか漬けなどの発酵食品がおすすめです。また、善玉菌を増殖させるエサとなるのは、食物繊維とオリゴ糖です。食物繊維はきのこ類や海藻類から、オリゴ糖は大豆、玉ねぎやごぼう、バナナなどから摂ることができます。

 3つ目のポイントは、退治役が働きやすくすること。免疫細胞は、体温が適度に上がると活発に働くといわれています。食事をするだけで体温は上がるので、体温が低い朝に食事は抜かないようにすることが大切です。時間がない時でも、温かいスープや飲み物を飲むことをおすすめします。また、体を温めるかぼちゃ、かぶ、ねぎ、しょうがなどを使った温かい料理を食べるようにしましょう。

 寒さはこれからが本番です。日々の食事のちょっとした心がけで、この冬を元気に乗り切ってくださいね。