Vol.147 食と健康

いまさら聞けない「塩」の調理用語エトセトラ

<Q>
 釣り堀のあるキャンプ場で、ニジマスの炭火焼にチャレンジする予定です。じょうずに焼くためには「化粧塩」をするとよいと聞きましたが、どういう意味ですか。ほかにも塩を使った言葉を教えてください。

<A>
 「化粧塩」とは魚を姿焼きにする時、焼き上がりを美しく見せるためにふる塩です。特に、尾やひれにたっぷりの塩をふると、白く形よく仕上がり、さらに焦げるのを防ぐ効果があります。一般に、鯛、鮎、鯵などの魚のほか、はまぐりなどにも使われます。サラサラした塩ではなく、しっとりした粗塩がよいでしょう。料理で塩が入った用語をいくつか紹介します。

【塩の調理用語】
 ふり塩:食材全体に薄く塩をふること。
 ひと塩:食材に軽く塩をふって、薄く味をつけたり、水分と一緒に臭みを出したりすること。
 塩じめ:魚に塩をふって余分な水分を除き、身をしめること。
 たて塩:海水程度の塩水のこと。魚介類の下洗いや野菜や果物の色止めや保存に使う。
 よび塩:塩蔵品の塩ぬきをする時に薄い塩水に浸すこと。

 塩は、玄関先に置く盛り塩や、力士が土俵にまくお清めの塩など、塩にまつわる伝統行事や風習はたくさんあり、神聖なものとされてきました。また、塩にはたくさんのことわざや慣用句があります。こちらもいくつか紹介します。

『手塩にかける』
 人任せにしないで、自分で世話をすること。小皿に塩を盛って、食べる人が自ら塩加減を調整するために置かれた「手塩」に由来する。

『みそに入れた塩』
 他人のために手助けしたことは、結局自分のためになるということ。みそを作る時に入れた塩はやがて見えなくなるが、味を調えたり保存性を高めたりする作用があるという意味から。

『ねずみが塩を引く』
 小さなことでも積み重なれば大変なことになること。ねずみが一度に盗む塩は少量ずつでも度重なると多量になることから。

『塩を踏む』
 世の中に出て苦労を重ねること。塩田で塩を作る作業が過酷な労働であったことから。

『塩辛を食おうとして水を飲む』
 準備がよすぎるとかえって間が抜けたり、役にたたないことのたとえ。塩辛を食べると喉が渇くことを見込んで、あらかじめ水を飲んでおくという意味から。

 身近にある塩のこと、知れば知るほどおもしろいですね。キャンプでおいしい焼き魚と一緒にウンチクを披露してみてはいかがでしょうか。