Vol.146 ハラスメント

カスタマーハラスメントを考える

 カスタマーハラスメント対策を行う企業が増えてきていると感じるニュースを耳にすることが増えました。企業が従業員の心理的安全性を保ち、一人ひとりを守り、安全で働きやすい環境を作ることは、お客様へ質の高いサービスを提供することに繋がります。
従業員が我慢してストレスに耐え、その結果サービス内容がないがしろになるより、従業員が生き生きと働き、笑顔あふれる職場から提供されるサービスのほうが、顧客満足度は高くなるでしょう。

 ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口へのカスタマーハラスメントに関する入電数は増える傾向にあります。寄せられるカスハラ相談の傾向は大きく分けて二つのパターンがあります。
 一つは、相談者がお客様との関係で悩んでいるケースです。接客業やカスタマーセンターの方からの相談が多く、直接お客様と接する日々の業務で被害を受けている様子が伝わってきます。相談の中で「損害」「補償」などの話題が出ることもあり、ハラスメントという枠を超えて、脅迫のような事態にもつながるのではないかと、その状況を案じることもあります。
 不安や心配で「食事がのどを通らない」「眠りが浅くなった」「眠れない」などの身体的な影響も聞こえてきます。そのような声を聞くたび、どうにか会社が対応をしてくれますように、と祈らずにはいられません。

 もう一つ多いのが、カスハラについて上司に相談をしたが対応をしてもらえない、という相談です。エスカレーションしても対応をしてくれなかった、「それくらい自分で対応できるでしょ」と言われた、などです。よく聞くのが、女性の営業職員が客先で受けたセクハラ言動について男性上司に相談をしても「そのくらいで」と取り合ってもらえなかった、というケースです。
 女性と男性では、対人関係における「危機感」のとらえ方がかなり違うと感じます。女性は被害者として巻き込まれることが多く、状況が悪化したケースでは、ストーカー行為をされた、警察に相談しても対応してもらえなかったなどもあり、最悪のケースを想定しながら問題と向き合っている方もいました。こうなると、カスハラの上に、上司からのパワハラ・セクハラが上乗せされてしまいます。

 企業としてはどのようなカスハラ対策をとるか悩ましいところだと思います。厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、カスタマーハラスメントを放置せず、従業員を守るという姿勢を積極的に推進する組織意識そのものがとても大切だ、とあります。ぜひとも現場の声を聴き、企業のカスハラ対策を推進してください。

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