Vol.110 メンタルヘルス

「セルフ・コンパッション」で人生を前向きに

 「自分に厳しくしすぎてしまう」「他人と比べて落ち込んでしまう」という方に、少しでも自分を好きでいられるためのヒントとなる考え方をお伝えします。それが、「セルフ・コンパッション」です。コンパッションは、慈悲と訳されます。多くのストレスにさらされている現代人にとって、「セルフ・コンパッション」をストレスケアのひとつとして身につけることは、心の健康に効果的と言われています。

 「セルフ・コンパッション」は、誰しもが持つネガティブなセルフイメージや、「私なんて…」と思う気持ちを自覚し、人生に前向きに取り組み、自信を取り戻すための試みです。そのためには、少しだけ努力と訓練が必要です。自信は自然に身につくものではないからです。

 「セルフ・コンパッション」には様々なエクササイズがありますが、比較的手軽に始められる方法を2つ紹介します。「ボディ・スキャン瞑想」と「手紙を書く」です。
 「ボディ・スキャン瞑想」は、身体の状態をありのままスキャンするように意識を向けていく方法です。①姿勢を整える、②呼吸を整える、③身体の部位一つ一つに意識を向ける、の3ステップで構成されます。身体の感覚を丁寧に感じ終えたら、最後に全身に意識を向け、リラックスした状態を楽しみます。全身の感覚と自然な呼吸を味わうイメージです。瞑想を経験したことがない方は入門編としても役立つかもしれません。瞑想を通じて身体の各部位との会話を楽しんでください。
 「手紙を書く」は、思いやりのある尊敬できる人物をイメージし、その人からの慈悲のこもった自分宛の手紙を想定して書きます。実在の人物でも、架空の人物でも構いません。紙を2枚用意し、1枚目には自分の欠点や失敗について、何が起きたのか事実だけを書きます。2枚目には、その事実に対して、慈悲のあるあの人であれば自分にどう語りかけるだろうかと想像して書きます。失敗を責めるのではなく、失敗をしても完璧ではなくても、自分と向き合って乗り越えようとする姿勢を受け入れてくれる手紙が届くのではないでしょうか。

 こうした訓練を続けていくと、人生において、一番強力な自分の味方は自分自身であると気づけるようになります。それが「セルフ・コンパッション」です。

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