高齢者も適量の肉料理を
<Q>
50代の頃、ちょっとお腹が出て太り気味だったので、意識して肉や脂っこいものを控えていました。今もあまり食べていませんが、少し痩せてきました。最近、高齢者も肉を積極的に食べた方がよいと聞きましたが本当ですか。
<A>
肥満解消や生活習慣病予防のために食生活の改善をし、その後もずっと肉を控えてしまうことがあります。また、加齢に伴いあっさりしたものを好むようになり、食材の偏りや、食事量が減り、栄養が足りていないこともおきてきます。魚や大豆製品はよく食べているのに、肉を避けていることでたんぱく質不足になることもあります。
たんぱく質は、筋肉や体の組織をつくる栄養素です。特に肉に含まれる動物性たんぱく質は、体のたんぱく質を合成するうえで効率のよいことがわかっています。肉も適量をしっかりと食べましょう。おおまかな目安は1日約50~60g(薄切り肉2~3枚)です。脂身が気になる場合は赤身の部位を選んでください。ほかに魚1切れ、卵1個、豆腐1/3丁か納豆1パックを1日3食の中で摂れるとよいですね。
高齢期は低栄養やエネルギー過剰など、栄養摂取の個人差が大きくなる年代です。特にたんぱく質とエネルギーが十分に摂れていない低栄養状態であるたんぱく質・エネルギー欠乏症(protein energy malnutrition:PEM)になると、血管の壁がもろくなる、ウイルスに対する抵抗力が衰える、体力が低下する、老化のスピードが速まるなど、体に大きく影響を及ぼします。そのため高齢者は、さまざまな食品をまんべんなく食べることが大事なのです。
たんぱく質は英語でプロテインと言いますが、ギリシャ語のプロテオス「第一のもの・チャンピオン」を語源とするほど重要な栄養素です。腎臓などに不安がない方は、たんぱく質を上手に摂って健康長寿を目指しましょう。