アフターコロナのマスク利用
皆さまご存じのとおり、2023年3月13日から、マスク着用は個人の判断が基本となりました。ただ、「受診時や医療機関・高齢者施設などを訪問する時」や「通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗車する時」、「重症化リスクの高い方が感染拡大時に混雑した場所に行く時」については、マスク着用が推奨されています(※1)。
また、職場においては「…個人の判断に委ねられるものではあるが、事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスクの着用を求めることは許容される」(※2)としています。
場所によりマスク着用を求められる可能性はあるにせよ、基本的には自由となったわけです。最近では、店員がマスクを着けない飲食店も増えてきました。コロナ前は当たり前だった光景が、新鮮に感じられます。
とは言え、街を歩くと、まだまだ多くの人がマスクを着けています。日本インフォメーション株式会社の調査(※3)によると、4月21~27日時点で「マスクを毎回着用している」と答えた人は、「公共交通機関の中」が最多で89.0%、最少でも「屋外スポーツ」の59.5%でした。
マスク着用の理由としては「感染のリスクに不安を感じる」が1位。2位は「マスクをつけることに慣れてしまった」でした。習慣となった行為を変えるのは難しいものです。続く3位~5位には、「花粉症などの対策」「抗菌・抗ウイルス」「周りの目が気になる」の理由が挙げられていました。
気になるのは6位の「素顔を見られるのが恥ずかしい」です。6位以下には、肌荒れやシミ、そばかすなど、顔の欠点を隠せるという理由も挙げられていました。容姿の美しさが、より重視される社会になっています。容姿が気になる人にとって、顔を出すことはストレスになるのでしょう。
長いマスク生活で、顔を隠す安心感に気付いてしまった人もいるのではないでしょうか。マスク依存症になるのは困りますが、生活に支障のないレベルならば、マスクはストレス対処法の一つとしても利用できるかもしれません。
ただ、表情が隠れると感情が伝わりにくくなります。感情は、人間が進化の過程で獲得してきたものであり、生存のための行動や表情と結びついていると考えられています。赤ちゃんは誰に教えられたわけでもないのに、快い時に微笑み、不快な時に顔をしかめますよね。そうすることによって、周囲の人間に欲求を伝えて生き延びているのです。
このように、表情は感情伝達の要であり、コミュニケーションの重要な要素です。コロナ禍の暗い気分から解放されるためには、特に笑顔が大切です。笑顔はポジティブな感情を伝えます。せっかくの笑顔が隠れるのは残念です。コミュニケーションに悪影響を及ぼさないよう、マスクは上手に利用しましょう。
※1「マスクの着用について」厚生労働省
※2「マスク着用の考え方の見直し等について」新型コロナウイルス感染症対策本部
※3「~アフターコロナでどう変わる?~コロナに対する意識・行動調査」日本インフォメーション株式会社調べ