Vol.85 ハラスメント

DX時代の人材戦略で大切にしたい視点

 2022年10月第210回国会での岸田内閣総理大臣所信表明演説の主な内容の一つに、「個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を5年間で1兆円のパッケージに拡充する」という表明がありました。リスキリングが注目される理由は、政府が「新たなイノベーションを生み出し、生産性や収益力の向上につながる」と期待しているからです。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に求められる人材を育成するためのリスキリングですが、学んだことを「創造」「革新」として発揮するには時間を要するでしょう。また、社内制度やルールを整え、気運を盛り上げたとしても、従業員の「こころ」はついていけるでしょうか。企業内でリスキリングを一律の制度として導入した場合、ITリテラシーの向上に注力するあまり、個々人のアナログな特性や強み、情緒的交流によるエンパワーメント(本来持っている力を発揮するよう支援する)がおろそかになってしまわないかと心配です。

 ダイヤル・サービスの相談窓口には、「(ITを使いこなせない)年寄りを退職に追いやるような口ぶりをされる」とか、「採用面接がオンラインだったので職場の雰囲気もわからずに就職した。いまだになじめない」といったような声が入ります。熟年層はITの変化に翻弄され、若手層はリアルコミュニケーションの不足に苦労していることがうかがえます。リスキリングと合わせて学ぶべきことは、適度なコミュニケーション力かもしれません。次々に生まれる「〇〇ハラスメント」といったことの解消にもつながるように思います。
 社員間のITリテラシーの差によって起こりやすい、ITに疎い人を責め立てたりするテクハラ(テクノロジーハラスメント)や、リモートワークで起こるリモハラ(リモートハラスメント)など、ITスキルが必須とされるために生じやすいハラスメントを予防することは、DX時代の人材戦略として大切なことではないでしょうか。

 ダイヤル・サービスでは、多様な研修を開催しています。企業のハラスメント担当者と交流しながら学べる研修もございますので、弊社営業担当までお気軽にお問い合わせください。

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