Vol.82 ハラスメント

コロナ禍での新しいハラスメント

 寒さが厳しさを増す中、コロナの感染者数増加のニュースが報道されています。各企業・団体も、感染予防対策としてリモートワークやテレワークの継続や拡大を実施している企業も数多くあります。
 相談の最近の傾向として、直接いじめや嫌がらせをするハラスメントに加え、オンライン上や遠隔的に行われるハラスメントである「リモートワークハラスメント(リモハラ)」や「テレワークハラスメント(テレハラ)」と呼ばれる相談が増えてきています。

 「パソコンの前にいるか確認するために映像(カメラ・ビデオ)を常にオンにしろ、と言われた」、「カメラに映った部屋の様子を見て、『いい趣味だね』と言われたり、化粧をしていなかった時に『すっぴんもかわいいね』と言われて不快だった」といった、これまでにはなかった相談も入るようになりました。

 特に多いのが「業務時間外である休日や深夜にもかかわらず、上司から業務の報告を求める指示が電話やメール等で送られてくるが、これってハラスメントですか」という相談です。

 先日実施したハラスメント防止の研修で受講者の方にこれがハラスメントにあたると思うかどうかを「セーフ」「アウト」「微妙」で答えていただきました。管理職と一般社員の方とでは特徴のある結果が出て、それぞれ分かれました。管理職の方は「セーフ」もしくは「微妙」と答える方が多く、「アウト」と答える方は少数派でした。一方、一般社員の方は「アウト」が多数を占め、次いで「微妙」となり、「セーフ」と答える方が少数派でした。

 それぞれ理由として「緊急時にはたとえ就労時間外でも連絡しなければならないことがある」(管理職で「セーフ」)、「頻度が多いのは問題だが、仕事だから仕方ないのでは」(管理職で「微妙」)、「プライベートの時間まで仕事の指示を出すのはおかしい」(一般職で「アウト」)、「状況や内容によってはアウトとは言えない」(一般職で「微妙」)などがありました。

 どちらの意見・判断にも一理ありますし、ハラスメントに該当するかどうかは最終的に事業主である会社や団体が状況を踏まえてジャッジすることになります。そもそも、このような事態が生じることそのものを防ぐのが大切であり、事前に「緊急時ややむを得ない事態においては夜間・休日等の労務時間外に連絡を取ることもある」と決めごとをしておけば、プライベートの時間に上司から連絡が来ても、感情的になることなく対応ができるのではないでしょうか。決めごとやルールが多くなると職場は窮屈にはなりますが、のちのちトラブルを避けるためにテレワーク・リモートワークにおける約束事をしておく方が上司・部下双方が気持ちよく働けるのではないでしょうか。

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