クリスマスの楽しみ🎅世界のお菓子
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クリスマスになるとたくさんの洋菓子が売られ、楽しみです。日本でもいろいろな種類を目にしますが、本来どのようなお菓子を食べるのか気になっています。クリスマスのお菓子を教えてください。
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かわいらしいクリスマスのパッケージに包まれたお菓子に、ついつい手が伸びてしまいますね。デコレーションケーキ以外にも、いろいろなお菓子が出回りますが、キリスト教信仰のある国々では、それぞれ決まった伝統的なお菓子を食べるようです。
フランスのブッシュドノエルのほかにも、イギリスのクリスマスプティングなどクリスマスを待ち望むお菓子があります。また、アメリカや北欧ではジンジャーなどの香辛料を使ったクッキーを食べます。ヨーロッパの国々では、クリスマス週間が4週間も続き、この間にお国自慢のクリスマス用のお菓子を楽しんでいるようです。日本でも知名度が上がってきている3つのお菓子を紹介します。
【シュトレン(独)stollen】
伝統的なドイツのクリスマス用のパンに近いケーキ。数種類のフルーツを発酵生地に混ぜて細長い山型にして焼き上げる。上に粉砂糖がふってあり、保存が利く。シュトレンという名前の由来には諸説あるが、断面の形状が「シュトレン(ドイツ語で坑道)」に似ているからという説が一般的。また、生地をひとまとめに丸め、たっぷりと粉砂糖をふったその姿は、真っ白なおくるみで、飼い葉おけに眠る幼子イエス・キリストを表しているともいわれている。
【クグロフ(仏) kouglof】
ドイツ国境に近いフランスのアルザス地方発祥の干しぶどう入りのブリオッシュ。ヨーロッパ地域で知られる伝統的な菓子。これらの地域では、結婚式や洗礼式、クリスマスで食される。もともとはパン酵母ではなくビール酵母で発酵させていたため、クーゲル(球状)とホフ(ホップ)の合成語「クーゲルホフ(kugelhof)」とドイツ語で呼ばれたのが名前の由来という説がある。王冠のような形で、真ん中に穴があり、斜めに溝のついた型で焼く。フランス王妃マリー・アントワネットが好んだ菓子としても知られている。
【パネットーネ(伊)panettone】
自然酵母のパネットーネ種を使った菓子パンで、保存期間が長い特徴がある。レーズンやオレンジピール、プラムなどのドライフルーツを刻み込んで焼き上げたドーム型のパン。
「大きなパン」の意味がある。レーズンは裕福、オレンジは愛とされ、それらを使ったパネットーネを親しい人への贈り物にするという習慣が生まれた。パネットーネはブラジルでもクリスマス菓子として楽しまれている。
季節や行事に関係なく通年食べられているお菓子にも、楽しいエピソードや名前の由来があるので、いくつか紹介します。よく食べていたお菓子の印象が変わるかも知れません。
【マドレーヌ(仏)madeleine】
フランスのバターケーキの一種。貝殻型(マドレーヌ型)を使うことが多い。名前の由来については諸説ある。フランスロレーヌ地方ムーズ県コメルシーの町の料理人マドレーヌ・ポーミエが新しいデザートを創作し、マドレーヌ・ド・コメルシーと名づけ、後にコメルシーの銘菓となった説が有名。ルイ15世の皇后になったマリー・レクチンスカの父親がこの菓子を好み、ベルサイユに紹介し、パリに広まったといわれている。
【タルトタタン(仏)tarte tatin】
フランス菓子のリンゴのタルト。タルト姉妹のタタン(タルト・デ・ドゥモアゼル・タタン)ともいう。20世紀初め頃にソローニュ地方で小さなホテルを営むタタン姉妹が、リンゴのタルトを作ろうとして、うっかりひっくり返してしまった。そこで、そのまま逆さに焼いたら、下にたまった砂糖がリンゴにしみて、あめ色のリンゴの香ばしい菓子になったといわれている。ほかにも、タルト生地を敷かずに焼いてしまったので、慌ててのせてから焼いて逆さまにしたなどいろいろな説がある。いずれにしても災い転じて福となした菓子といえる。
【エクレア(仏)éclair】
フランスで発祥したシュー菓子の一種。ドイツ語ではブリッツクーヘン、フランス語ではエクレールと呼ばれ、いずれも「稲妻」の意味がある。名前の由来にはクリームが脇からはみ出しやすいので稲妻のように素早く食べること、チョコレート、フォンダン(上にかける砂糖衣)が光って見えること、表面の割れ目が稲妻のように見えることなど諸説ある。
世界中のクリスマス菓子を食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。また、ヨーロッパの風習にならいクリスマスを指折り数えながら、少しずつお菓子を食べて過ごすのも素敵です。メリークリスマス!