食べ物を捨てない社会にするために、きちんと食べよう!
まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを「食品ロス」と呼び、日本でもこの言葉が定着しつつあります。
2019年10月に成立した「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づき、10月は「食品ロス月間」、そして10月30日は「食品ロス削減の日」となりました。この時期、環境省や消費者庁、農林水産省が連携して食品ロス削減に向けた取り組みが集中的に行われます。また、10月16日は国連が世界の食料問題を考える日として定めた「世界食料デー」です。このように10月は食品ロス削減をはじめとした食料問題や飢餓を考え、解決に向けて一緒に行動する1ヶ月といえます。栄養相談の窓口にも家庭でどのように取り組めばよいのか問い合わせをいただきます。
■なぜ食品ロスを減らさないといけないの?
2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の1つに「12.つくる責任 つかう責任」という目標があります。2030年までに世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させることが盛り込まれました。その背景には世界の現状があります。すべての人が食べられるだけの食料が生産されているにも関わらず、10人に1人が十分に食べられず飢餓や貧困に苦しんでいます。一方で生産された食料のおよそ1/3が廃棄されているのです。
食品ロスの削減は家計や公共団体のごみ処理経費の軽減、生産や廃棄に関わるエネルギーの節約、CO2排出の低減により環境改善にもつながります。
■どんなことが食品ロスにつながるの?
日本における2020年度の食品ロスの発生は推計値で、年間522万トンです。その内訳は事業者からが275万トン、家庭からが247万トンと発表されています。食品ロスの半分近くが家庭から出ていることがわかります。年々減少し、推計を開始して以来、2020年度は最小になりましたが、2030年までに半減させる目標「489万トン」には至っていません。
事業者の食品ロスの原因は、製造・外食産業では「作りすぎ」「食べ残し」などが挙げられ、生産・小売業では「規格外品」「返品」「売れ残り」などです。
家庭の食品ロスの理由を見てみると、作りすぎによる「食べ残し」、食べられる部分を捨てる「過剰除去」、賞味期限切れなどで手つかずに捨てられた「直接廃棄」となっています。
■家庭ではどのような取り組みをすればよいの?
食品ロスのおよそ半分が家庭から出ているため、各家庭での取り組みはとても重要です。小さなことの積み重ねが、大きな変化につながります。紹介する注意点をヒントにできることを考えてみましょう。
大切な食べ物を捨てることのないように、「きちんと食べる」ことが食品ロスを減らす、第一歩になります。ちょっとした心がけが世界の貧困や飢餓の改善につながることを意識して、この10月を過ごしてみませんか。