ピンク色の斑点が・・・まな板の洗浄と除菌
「プラスチックと木のまな板では手入れは違いますか」「この季節になるとまな板にピンク色の斑点が現れます。夜、漂白剤をかけておくのですが、消えません。これは何ですか」などの相談が管理栄養士の窓口には寄せられます。
夏を迎え台所の衛生も気になる季節ですね。台所用品のお手入れは、丁寧な洗浄と除菌が大切です。そこで、まな板についてお伝えします。
まな板の素材
プラスチック製や木製のまな板が市販されていますが、それぞれにメリット、デメリットがあります。
プラスチック製のまな板は衛生的ですが、刃当たりが悪く熱に弱いのがデメリットです。漂白しても黒ずみが取れないほどになったら買い替え時といえます。
木製のまな板は、包丁の当たりが軟らかく、切りやすいですが、傷がつきやすく、細菌や黒カビが繁殖しやすいのがデメリットといえます。ヒノキ、イチョウ、柳、ホオノキなどさまざまな種類の木で作られ、特にヒノキは程よい堅さと耐水性に優れています。ひびや節目がなく、木目がそろっているものを選ぶとよいでしょう。
まな板のお手入れ
まな板の洗浄の目的は、当然ながら汚れを落とすことです。菌は、たんぱく質や脂肪の衣(汚れ)に包まれています。大切なのは、お風呂と同じくらいのぬるま湯で、洗剤とスポンジなどを使い、まな板のキズと同じ方向にこすること。ぬるま湯を使うのはお湯の温度が高いとたんぱく質が固まり、その中に菌が包まれて残ってしまうからです。スポンジなどでキズの方向に沿って汚れをかき出して、キズの中に汚れを押し込まないようにします。
すすぎも洗浄と同じく、ぬるま湯ですすいでください。仕上げは洗剤や汚れが残らないように、流水で十分にすすぎましょう。
毎日お手入れしたのに・・・ピンク色の正体は?
使うたびにお手入れをしていても、汚れが目立ってきたりします。菌はあちらこちらにいますが、一般的には見えません。ただ、増殖するときに色素を作り出す菌もいます。まな板にピンク色に付着するセラチア菌もその一つです。自然界、動物や人の腸の中など、いろいろな場所にいて、たんぱく質の多い食品を腐敗させることでも知られています。まな板に現れたピンク色の斑点に、漂白剤をかけても消えないことがあります。それはまな板のキズの中に残っていた菌が、夜のうちに増殖したためと考えられます。このようなことを避けるには、日々のお手入れのほかに、定期的な消毒が必要です。
まな板の消毒
消毒には、熱湯による方法と、漂白剤を使用した方法があります。
漂白剤を使う場合、かけただけでは、まな板のキズの中まで漂白剤がなかなか届きません。スポンジなどで、まな板のキズと同じ方向にこすりつけるか、漂白剤を希釈した液につけ置きします。効果を期待して濃い濃度で使用すると、まな板がざらつくなどの劣化を招きます。漂白剤を使う時には、決められた濃度に希釈してください。
熱湯による方法の場合、木製は沸騰させたお湯を使います。プラスチックは熱に弱いため漂白剤による消毒の方が適していますが、お湯を使う場合は80度以下にして消毒するようにします。
台所は、清潔が一番。ピカピカの台所用品でこそ、おいしさもピカイチです。こまめに手入れをしましょう。