社外通報窓口とは?社内通報窓口との違い・設置メリット・依頼先も
1. 社外通報窓口(外部通報窓口)とは?
社外通報窓口は、外部通報窓口とも呼ばれる通報システムであり、その言葉を構成する文字の通り、社外(会社の外部)に設けられた通報窓口のことを指します。社外通報窓口は、企業と契約した弁護士や通報窓口業務を担う会社などに委託される場合が多く、自社以外の人間が通報を受け付けるため、従業員も安心して通報しやすいでしょう。
従業員が社外通報窓口を利用できる通報内容としては、以下のようなものが挙げられます。
【社外通報窓口に通報できる内容】
社内で特定の法律に違反する行為や刑罰につながる行為があれば、従業員はその内容について社外通報窓口に通報することができます。通報者が公益通報者保護法で定められた保護を受けられる「特定の法律」には、刑法や金融商品取引法、食品衛生法など数多くの法律が含まれます。
● これから起こると推定される法律違反行為・刑罰につながる行為
現在は法律違反や刑罰につながる行為が発生していない場合でも、今後発生する可能性が高いと考えられる場合には、社外通報窓口に通報することが可能です。
1-1. 社内通報窓口(内部通報窓口)との違い
社内の問題を通報する仕組みとして、社外通報窓口のほかに「社内通報窓口(内部通報窓口)」の存在が挙げられます。社内通報窓口とは、社内(総務や法務、人事など)に設置した通報窓口のことです。社内にあるため通報を受けた際に迅速に対応しやすく、早期の問題解決を図れるでしょう。設置にかかる手間や費用を抑えられることもポイントです。
一方で、中小企業など規模の小さな企業では、窓口の担当者と通報者が顔見知りであるケースも少なくありません。「周囲に通報内容が漏えいするのでは」と通報者が不安に感じ、通報を躊躇する恐れもあります。
社内通報窓口を設置することも重要ですが、社内通報窓口のデメリットを補うためには社外通報窓口を設置することも大切です。秘密保持の徹底と確実なリスク管理を行うためにも、社外通報窓口と社内通報窓口の両方を併用することをおすすめします。
2. 社外通報窓口を設置するメリット4つ
企業が社外通報窓口を設置するメリットとして、主に次の4つが挙げられます。
【社外通報窓口を設置する4つのメリット】
● 社内通報窓口の不正利用を防げる
● 専門性の高い対応が可能となる
● 企業に対する信頼性が高まる
ここでは、上記の4つのメリットについて詳しく解説します。
2-1. 匿名性が高く従業員が安心して通報しやすい
社内通報窓口の場合も匿名通報することは可能ですが、企業規模の小さな会社の場合、電話の声で通報者が誰か分かってしまうケースも少なくありません。本来であれば通報者の保護が求められますが、通報者が不利益を被ったケースもあるため、通報をためらってしまう従業員も多いと考えられます。
社外通報窓口を利用すれば、通報の時点で通報者が誰であるか社内の人間に知られる心配がないため、従業員は安心して通報することができます。匿名性が担保されるため通報へのハードルが下がることから、トラブルの早期発見・早期解決が期待できるでしょう。
2-2. 社内通報窓口の不正利用を防げる
社内通報窓口は、通報内容によっては迅速に対応できるというメリットがありますが、従業員に制度を悪用される場合があることにも注意が必要です。
例えば、窓口の担当者と通報者が手を結び、通報者が行った嘘の通報を窓口の担当者が悪意をもって受け付けた場合、特定の人物に不利な結果につながってしまう可能性があります。社外通報窓口を利用すれば、公正な立場で通報内容を判断してもらえるため、窓口の不正利用を防ぐことができるでしょう。
2-3. 専門性の高い対応が可能となる
社内通報窓口業務は、総務や人事といった事務部門に所属する従業員が他の業務と兼任しているケースも少なくありません。社内でのトラブル対応の専門家ではないため、対応に迷うことも多いでしょう。どのような対応を取ればよいか検討しているうちに、通報者が外部に告発することも考えられます。
社外通報窓口の主な依頼先は、弁護士や通報窓口対応を担う専門会社であるため、より専門性の高い対応が期待できます。社内の問題をスムーズに解決できる可能性が高いため、情報漏えいのリスクも抑えられるでしょう。
2-4. 企業に対する信頼性が高まる
2020年の「公益通報者保護法」の改正により、多くの企業で内部通報制度の整備が求められるようになったことから、社内通報窓口の整備を進めている企業も多いでしょう。しかし、企業活動の健全性や透明性が一層求められる現代において、社内通報窓口のみでは高い信頼性が得られない可能性があります。
健全な企業活動を行っていることを社内外に認知してもらうためには、社外通報窓口を設置して外部からの視線が常にあることをアピールすることが大切です。従業員が社内の問題を通報しやすい環境を整えることで、社内外からの企業に対する信頼性も高まるでしょう。
3. 社外通報窓口を設置する際の注意点
企業が社外通報窓口を設置する際には、「従業員が社内の問題を通報しやすい環境を整備する」という意識を企業側が持つことが大切です。社外通報窓口を設置するメリットは企業側にもありますが、第一に従業員のためであることを認識しておきましょう。
また、社外通報窓口の存在を従業員に十分周知することも大切です。通報を行う際には証拠となる書類のコピーや、やりとりを記録したメディアなどを提出することも併せてアナウンスしておきましょう。ハラスメントなどの場合には、実名での告発が必要となるケースがあることも通達してください。
4. 社外通報窓口の依頼先|各依頼先の概要とメリットも
社外通報窓口の依頼先としては、主に会社が契約する弁護士(法律事務所)と通報窓口の専門会社の2つが挙げられます。
ここでは、それぞれの依頼先の特徴や、各依頼先に通報窓口としての役割を委託する場合のメリットについて解説します。それぞれの特色をふまえ、自社に適した依頼先を選定しましょう。
4-1. (1)法律事務所
社内のトラブルや企業活動における不正問題に詳しい弁護士が在籍する法律事務所に、社外通報窓口としての役割を委託するケースは珍しくありません。
その理由の1つとして、弁護士が通報を受け付けるだけでなく、法律のプロとして問題解決を図るための企業に対する指導・アドバイスを実施することが挙げられます。すでに懇意にしている弁護士や法律事務所などがあれば、法律事務所に社外通報窓口としての役割を依頼することも1つの方法です。
4-2. (2)通報窓口の専門業者
通報窓口の専門業者とは、ある企業の従業員からの社内トラブルや不正問題に関する通報を受け付け、相談に対応する業者を指します。業者によっては通報だけでなく、コンプライアンスやハラスメント、メンタルヘルスに関する相談を受け付けている場合も少なくありません。
通報窓口の専門業者を利用する企業は、比較的規模の大きい会社が多い傾向にありますが、中には中小企業向けのプランを用意している業者もあります。サービスの内容やコストを考慮した上で、自社に合った通報窓口専門業者を見つけましょう。
まとめ
外部に設置された通報窓口(社外通報窓口)は、匿名性が担保しやすく専門性の高い対応が可能となることから、従業員が安心して通報しやすいというメリットがあります。社内通報窓口の不正利用を防ぎつつ企業に対する信頼性を高めるためにも、社内通報窓口と併せて社外通報窓口の設置を進めましょう。従業員への周知も忘れないようにしてください。
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