夏季うつ病にご用心~ストレスコーピングで酷暑を乗りきりましょう~
今年は6月下旬から各地で記録的な猛暑となりました。急激な温度変化に体がついていかず、「なんとなく体がだるい」「うつうつとする」といった不調を経験した方もいるでしょう。いつまでも体調がすぐれず、気分もふさぎがちな状態が続いていたら要注意です。
皆さんは、「夏季うつ病」についてご存じでしょうか?「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)」の俗称で、季節型のうつ病に分類され、6月頃発症し9月頃に回復するうつ病が「夏季うつ病」、10月頃発症し3月頃までに回復するうつ病は「冬季うつ病」と言われています。夏季うつ病は、日光の浴びすぎや室内外の温度差などの外的ストレスが原因となりやすいようです。
夏季うつ病の主な症状は、「全身の倦怠感」「食欲低下」「睡眠障害」「不安感」「無気力感」などの肉体的・精神的な不調があげられます。人間には体温を一定にコントロールする「ホメオスタシス(恒常性)」の仕組みが備わっており、自律神経がその維持装置になっています。温度差が大きいと、自律神経の働きが必要以上に活発になり、過剰にエネルギーを消費します。慢性的な疲労感が抜けず、「夏バテかな」と思う方もいるでしょう。しかし、明確なストレス要因となる出来事や理由がないのに気分がすぐれない状態が長引いている場合、「夏季うつ病」の可能性も考えられます。
「夏季うつ病」の原因の一つに「隠れ疲労」があるとも言われています。春先の多忙さや不規則な生活などを乗り越えてきた疲れやストレスが溜まっている状態が「隠れ疲労」です。夏季うつ病の回復には、ストレスを解消することを目的とせず、日々のストレスに気づき、それらと上手につき合っていこうとする心構えが大切です。
ストレスとうまく付き合う手法の一つに「ストレスコーピング」という考えがあります。ストレスコーピングとは、「意図を伴う自分助け」と言われています。例えば、隙間時間を活用して、昼休みの15分を意図的に仮眠に費やしてみてはいかがでしょうか。時間がないという方には、「大好きなビールを飲んでいる自分」をイメージしてみるのもいいでしょう。実際に行動を伴わずとも、イメージ(認知)を用いて少しでも心身をほぐすことも有効です。「1万歩歩く」という行動でも、足の痛みを無視してやれば「運動過多」となりますが、自分のペースに合っていて「一万歩、歩いた!」という達成感を意図して行えば「コーピング」ということになります。毎日の些細なことでもコーピングにつながりますので、コーピングレパートリーを日頃から持っておくことをお勧めします。
まだまだ暑さが続きます。自分のこころとからだに目を向けてケアしてあげたいですね。