ハラスメント窓口に再相談が多い理由
ダイヤル・サービスの外部相談窓口には、さまざまなハラスメント相談が入ってきます。ハラスメントというほどではなくても、その日にあった職場での人間関係の悩みを誰かに話して気を楽にしたいという方もいます。一方で、長い間我慢し続け、我慢し続けて限界を感じる寸前になって、ようやく相談する方も少なくありません。
ハラスメントは、初期段階で対応できれば早期解決できる可能性があります。しかし、限界まで我慢し続けてきた相談者は、口々に「覚悟して電話した」、「とても勇気のいることだった」と言います。背景には、相談したことで行為者から報復されるのではないかという不安があります。私たち相談員は、不安を受け止めつつ、対応を求める相談者の訴えを会社に報告します。そのため、多くは1回の相談で終了します。ところが、相談後間もなく、再び電話をしてくる相談者がいます。それはなぜなのでしょうか。
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相談したことで自分の立場が不利になるのではないかと不安な気持ちが強くなって再相談をする方がいます。周りの様子に敏感に反応し、物事をネガティブにとらえてしまっています。特に、小規模な職場や、仕事内容によっては、誰が通報したかがわかりやすいこともあり、おびえながら働いているので、そう感じるのかもしれません。そのような場合には、お気持ちを受け止めながら安心していただくよう対応しています。
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前回相談した内容を変更してほしい、追加してほしいという再相談もあります。人はハラスメントの被害を受けると、憤りや困惑等、さまざまな感情が湧き出てきて興奮しています。そのような状態で思いついたことを勢いよく話すと気持ちの整理ができていません。しかし、少し時間が経つと、被害を受けたことや相談した内容について冷静に考えることができ、言いすぎてしまったことを後悔したり、新たに思い出したりします。それが再相談につながっています。
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会社の対応が遅いという再相談もあります。相談者は気持ちが高ぶっており、すぐ対応してほしいという焦りが強まっています。職場に行くのがつらいので、早く対応してもらいたいのでしょう。相談した翌日に電話をしてくる方もいます。その場合は、気持ちを受け止めながら、少し待ってもらいたいことを伝え、落ち着いていただきます。
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状況が全然変わっていないと訴える再相談もあります。初回の相談に対して会社側は対応し、解決したと思っていても、相談者との考えに齟齬があり、相談者の訴えが受け入れてもらえなかった時です。特に、行為者の処分を求める思いが強い相談者は、会社がハラスメントではないと判断したりすると納得できない気持ちが強くなるようです。結果、当事者同士の関係は改善されないどころか余計にひどくなり、周囲の人たちも仕事がやりにくくなります。会社は、解決済みとして終わらせず、職場の人間関係やコミュニケーションの問題があることを考慮しながら、安心して働ける職場環境へと改善していくことが責務となるでしょう。
2021年4月15日up