電話カウンセラーから~10月10日は「世界メンタルヘルスデー」 第157号メルマガ
10月10日、銀色に輝く東京タワーをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
世界メンタルヘルスデーと定められたこの日に合わせて、東京タワーはシルバーに
ライトアップされました。
なぜシルバーなのか。
それは外見からは理解されにくい、脳や心の病気への理解促進を目的とした、
シルバーリボン運動に関連しています。
シルバーリボン運動は、1993年カリフォルニアから始まりました。
気持ちが辛く苦しい時、心は雲に覆われ、希望を失ったかのように感じてしまいます。
カリフォルニアの曇天から漏れる太陽の光は銀色に輝き、人生の希望そのものに見えた
のでしょう。シルバーリボンはどんよりと重く落ち込む心に差し込む希望の光の色です。
現在、世界の4人に1人が、生涯の内になんらかの精神疾患にかかると言われています。
ひっ迫する医療費は国際的にも大きな問題となっています。メンタルヘルスって何だろう?
困っている人に何ができるかな?
そんなふうに自分の問題として、そして自分の周囲の大切な人のこととして考える
ことで精神疾患の深刻化を防止するのが、世界的に行われているこの運動の目的です。
精神疾患の予防には、まず自分のストレス負荷やメンタル状態を正しく把握しておくことが重要です。
少し違和感を覚えた時に、「どうしたのかな?」「今、無理してないかな?」
と自らに問いかけることで、なんらかの解決策や打開策が見えてくるかもしれません。
そこで「自分が無理しなくても良いのでは?」と思ったら、迷わず周囲を頼りましょう。
ダイヤル・サービスのハラスメント相談窓口に入る相談は、以前と比べて少し変化が見られます。
以前は「これがハラスメントに該当するかどうかわからないのですが」
という方が多かったのに比べ、最近は「ハラスメントを受けているのですが」と始まる
相談が増えました。入電件数も増えています。
これまで「我慢するしかなかった」ことを、今は主張できるようになったのではないか
と分析しています。
2020年度、過重労働や仕事のストレスで精神障害を発症し、労働災害に認定された人は608人と、
過去最高となりました。
精神障害の労災認定基準が改正され、パワハラが要因として明記されたことも
関係しているかと思います。
また、労働基準法違反を伴わない民事上の個別労働紛争の相談件数も増加の一途をたどっています。
2012年以降、相談件数の第1位を独占しているのが職場の「いじめ・嫌がらせ」に関するものです。
2020年度は8万件弱となりました。
感情的に声を荒げることなく、正当に怒れる社会に変化してきているのかもしれません。
どんよりと重く空を覆う暗い雲の隙間から、少しずつ希望の光が差し込んでいるように思います。
東京タワーのライトアップは10月10日だけですが、希望の光を見失わないように、
「メンタルヘルスって何だろう?」を常に意識してほしいと思います。