ハラスメント研修をより効果的に
「労働施策総合推進法」が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。これまで努力義務であった中小事業主についても2022年4月から義務化となります。そのため、コロナ禍の中でも、多くの企業や団体がパワーハラスメント防止のための研修を実施してきました。ダイヤル・サービスも企業・団体からの依頼を受け、ハラスメント防止のための社内研修を数多く行っています。今回は、ハラスメント研修をより効果的にする方法をお伝えします。
パワハラ研修を受講した管理職の多くは、「あれはダメ、これもダメ。部下を指導しようとして、少し強く言っただけでも相手がパワハラだと感じたら、パワハラになってしまう。これでは指導なんてできない」とネガティブな印象を抱くようです。また、主催者側が「参加して欲しい」と思っている人に限って、体調不良や顧客とのアポイントなどの理由をつけて参加しようとしない、と悩んでいる例もありました。確かに、してはいけないことの羅列や、処分を受けた例などばかり聞かされては、受講者の意欲が失せてしまうのも理解できます。
当社が行う研修も、前半はハラスメントの定義や種類・実際の例など基本的な情報をお伝えします。これは例えて言うなら、スポーツ競技のルールや規則を伝えるパートです。どんなスポーツもルールや規則を知らなければ、競技をすることはできません。ただ、いくらルールや規則に詳しくなっても、その競技本来の楽しさを知ることはできません。スポーツと仕事を一緒に考えることはできませんが、どちらもチームのメンバーが同じ目標に向かってそれぞれの立場で役割を果たす、という共通点があります。特に管理職はチームのリーダーとして個々のメンバーの意識を高め、能力を引き上げていかなければなりません。また、日々の仕事をどうやったら楽しくできるか、共に働く仲間と思いを共有できるかを知る必要もあります。
そのため、後半は受講者が主役となり、働きやすい職場を作るために自分ができることを考え、それをグループワークで共有します。そして他のメンバーの意見を参考にしながら、職場に戻ってすぐに取り組む課題を「行動宣言」という形で最後に発表してもらいます。オンライン研修では、紙に自分の意見を書いて画面越しに映して見せる、という方法をとりました。意外な答えや珍解答などもあり、皆が思わず笑ってしまうような場面も数多くありました。
ともすると敬遠されがちなハラスメント研修ですが、工夫次第で楽しく、効果的に行うことができます。ルールや防止規定の周知も大切ですが、これから研修を企画する際には、受講者が参加したくなる、参加して楽しかったと思うような工夫を取り入れることをお勧めします。