2025年1月21日 プレスリリース

ダイヤル・サービスが、全国の小中高生を対象とした無料電話相談窓口「子ども110番」を100日間運営した結果をレポートします

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 ダイヤル・サービス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:今野 由梨、以下「ダイヤル・サービス」)は、夏休み明けの子どもたちの不安定な心に寄り添い、心配や不安の解消と小中高生の自殺の防止を目的として、全国の小中高生を対象とした無料電話相談窓口「子ども110番」を2024年8月26日から運営しています。

 我々は、8月26日から12月3日までの100日間で集計を行い、「子ども110番」を通して子どもたちから寄せられた相談を分析しました。

およそ2日に1通の割合で届く、子どもたちからのSOS

 100日間で「子ども110番」にかかってきた電話は57通。およそ2日に1回の割合で相談が寄せられていることになります。とはいえ、定期的に子どもたちからの電話がかかってくることはありません。全く相談のない日があったり、1日に5回電話が鳴る日があったりとまちまちです。子どもたちからの電話は日曜日の入電がやや多い傾向にはありますが、それ以外に大きな偏りはありません。子どもたちのSOS発信に曜日は関係ないように思われます。
 子どもたちのSOSをタイムリーに聞き取るには、曜日を問わず対応することのできる環境を設ける必要があるのだと思わされます。

子ども110番

中高生からの相談が大半、保護者・祖母からの相談も

 電話で相談を寄せてくれる子ども達は主に中学生・高校生。小学生からの相談もありました。 「子ども110番」の対象外である保護者から「1歳になったばかりの子どもが熱を出して、痙攣を起こしています」といった相談、また別の保護者からは「中学生の娘が父親と酷い喧嘩をして家を飛び出してしまった。娘の話を聞いてやって欲しい」といったものが寄せられました。
 それらの相談はそれぞれ、当社の電話相談員から「子ども110番」の対象から外れている旨を説明したうえで、「子ども医療電話相談窓口」を案内したり、娘が帰ってきた際にまたお電話いただくよう、居場所がわからない状況であれば、警察に電話していただくよう伝えるなどのアドバイスで、相談者が納得した上で終話しております。

子ども110番

女性からの相談が大半ながら、男性からの相談も

 「子ども110番」では、相談を寄せてくれる子どもたちに対し、相談前に学年・年齢・性別を伺っています。
 子どもたちが答えた自分自身の性別はおよそ60%が女性、およそ15%が男性、残りの25%が不明……「性別は答えたくない」や「トランスジェンダーだ」といったものでした。しかし、性別を明らかにした上での「自分の性別に違和感がある」といった相談もあり、一概に男女でくくることの難しさを考えさせられました。

子ども110番

友人関係に悩む様子は年相応ながら、命に係わる相談も寄せられています

 子どもたちの相談を大まかに分けると、「友人/対人関係」が最も多く、次いで「自傷・自殺」「心と身体」が多くなっています。「友人/対人関係」は半数が恋愛や異性関係にまつわる相談で、「好意を抱いた相手にどう話しかければよいか」「親に交際がばれて暴力を振るわれた」などがありました。
 「自傷・自殺」「心と身体」の相談に共通するのは、どれも子供たちのこころが不安定であるということです。話したい、相談したいけれど身近に秘密を打ち明けられる信頼できる相手がいない。そんな子どもたちが「子ども110番」に電話をかけてきてくれているのであれば、この相談窓口の意義があるのだと思わせられます。

子ども110番

子どもたちから寄せられた相談と対応した相談員のコメントをいくつかご紹介します

 子どもたちの悩みは様々です。また、話し方もそれぞれ異なります。一気に自分のことを話す子ども、ぽつぽつと話をする子ども……電話相談員は子どもたちのペースに合わせ、じっくりと話を聞いていきます。
 ここでは、子どもたちから寄せられた相談を、個人情報に配慮した形でご紹介いたします。
 相談内容は、対応した電話相談員が聞き取り記載したものから作成しています。


事例1)彼女と連絡が取れなくなった男子からの相談
相談のカテゴリ:友人/対人関係
相談内容:
 自分の居場所がないと感じる。学校には行っておらず、今はベランダから電話を掛けている。
 学校には行っていない。外出はできるけど学校には行けない。
 歌舞伎町に行きたいと思うが、行かない方が良いというのは自分でも分かっている。
 歌舞伎町には月に一回だけ、保護者に許しを貰ったうえで行っている。そこで、彼女と遊ぶ。自分に彼女がいるということは保護者も知っている。
 最近、彼女がスマホの機種変更をして、自分とLINEが繋がらなくなってしまった。Instagramなら彼女と連絡が取れるが、保護者から禁止されている。
 自分の部屋はないが、寝る場所は自分一人になれる。自分が寝ている場所は、以前兄弟が使っていた部屋で、その兄弟は、もう家を出ている。父は、夜は母と一緒の部屋で寝ているから、自分は一人で寝ることができる。

電話相談員からのコメント:
 相談者は、彼女と連絡が取れなくなったことで不安になった様子でした。
 自身の思いを、家族にも、彼女にも伝えきれない様子でした。彼女と共通の知り合いもいるようでしたが、連絡を取り合うことまではできない様子でした。
 保護者に、自分の今の気持ちを伝えて、Instagramを使って連絡できないか、再度お願いしてみてはと助言しました。
 夜も遅い時間であったため、今日はもう休むように伝えると素直に応じてくれました。
 いつでもこの番号が利用できる事を伝えると、安心して終話となりました。


事例2)「消えたい」「家に帰りたくない」という女子からの相談
相談のカテゴリ:自傷・自殺
相談内容:
 上手く話せなくてもいいか。誰にも言えずに電話した。
 昨日、はじめて死にたいなと思い、今もその気持ちが続いている。迷惑を掛けずに死ぬか、消えたいなと思っている。学校に行くのがどんどんつらくなっている。家にもいたくない。周囲は嫌なことがあっても我慢して頑張っているのに、自分はすぐに気にしてしまう。
 自分は1年生の時は勉強を頑張っていて、友人や先生からも褒められることが多かった。2年生になり成績が落ちてきて、勉強に集中できなくなった。テストの時、友人から「頭が良いからできるよね」みたいに言われるのがプレッシャーになっている。先生や保護者に成績のことでどうしたのかと聞かれるが、聞かれるともっと落ち込む。楽しく学校に行けていない。
 自分は介護系の専門学校に通っている。成績は落ちたが、進級できないといったようなレベルではない。中学時代からの友人は勉強を頑張っている。専門学校の友人も忙しいのに楽しそうにしていて、バイトも頑張っている。周囲に悩みを言うのは恥ずかしい。悩みを言うのは甘えているという雰囲気がある。先生にも言えない。
 昨日学校で、自分と仲が良い子が自分のことを誰かに話しているのが聞こえた。裏で悪く言われているのではないかと不安になった。自分に話しかけてくれる人はいて、きっと心配してくれているのだとは思うが、人と目を合わせたり、うまく笑ったりできなくなってしまった。自分のことを嫌いな人がいるのなら、死んだらその人の役に立つかなと思った。今日も学校に行った。面白いこともあったし、食事もとれた。昨日のことを気にしなければ普通の日だった。しかし、その後のバイトで、元気が出なくてミスをしてしまった。
 父は、理由は知らないが別居している。連絡は取っていない。兄弟は受験だったり部活だったりで忙しくしている。母は日中は自宅におり、自分にとって怖いと感じる。自分は母にわがままを言ったり話したりできず、ずっと我慢してきた。家事も、家のことがきちんとなっていないと気になってしまうので、毎日自分がやってきたが、本当は母と分担したいと思っている。帰宅が遅いと母に怒られる。 この窓口を知ったのは、昨夜自殺の記事を読んでいて、電話相談の窓口が載っていたのを見つけたから。
 家に帰りたくないと思い、今は家の隣の公園にいる。
 この窓口に電話をする時にすごく迷った。2、30分迷った。迷惑をかけるのではないかと思った。しかし、話してみて話を聞いてくれる人がいると知れた。家に帰りたいと思えた。

電話相談員からのコメント:
 言葉に詰まりながら話をする相談者でした。
 電話相談員から適宜質問をし、励ましながら話を聞いていきました。相談者から「話ができたことで、聞いてくれる人もいると思えた」との言葉があったので、電話相談員より、周囲に話してみることを提案しました。しかし、すぐに話せそうな人は思いつかないようでしたので、学校にいるカウンセラーや先生を挙げてみましたが、学校内で情報を共有してしまうのではないかと思い相談できないとのことでした。
 すぐに周囲に相談できないのであれば、当面はこの窓口を利用するよう促しました。
 最後に、家に帰りたいと思えたということで、帰宅の意思を確認しての終話となりました。


まとめ

 「子ども110番」に寄せられた相談の100日間のデータ分析から、子どもたちが「話を聞いてくれる、信用できる大人」であると判断してくれた電話相談員には心を開き、話をしてくれることがわかりました。
 当初、11月30日までの運営の予定だった窓口は、子どもたちから寄せられた相談の数や内容から当窓口の社会性の高さを再認識し、2025年4月初旬までの開設に延長しました。
 ダイヤル・サービスは引き続き、「子ども110番」を通して一人でも多くの子どもたちの声に耳を傾け、共に歩んでまいります。

「子ども110番」プロジェクト 概要


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「子ども110番」
 電話番号:0120-598-029
 ホームページ:https://www.dsn.co.jp/kodomo110/
 開設期間:2024年8月26日(月)9:00~2025年4月6日(土)23:59
 受付時間:24時間対応
 通話料金:無料
 対象:全国の小中高生

   「子ども110番」は全国の小中高生を対象に開設しています。通話料は無料、申し込みも不要です。毎日24時間、いつでも電話相談員が、子どもたちからのお電話をお待ちしております。
 「子ども110番」にする話はなんでも構いません。学校の悩み、親兄弟との悩み、バイトでの悩みや、ちょっとした雑談や質問でも、親身になってお聴きします。
 子どもたちの電話を受ける電話相談員は臨床心理士、精神保健福祉士などの資格を持ったいわば「こころの専門家」にして、数々の相談を受けてきた「聴き上手」な熟練の相談員です。

ダイヤル・サービス株式会社について

 ダイヤル・サービス株式会社は、日本で初めて電話相談サービスを提供する企業として創業しました。現在も企業や自治体が運営する相談・通報の窓口代行サービスを通じ、人々の声に耳を傾け、培った「対話の力」や「傾聴力」と知識で企業向けの様々な研修・セミナーを展開しています。

<会社概要>
商 号: ダイヤル・サービス株式会社
代表者: 代表取締役 今野 由梨
設 立: 1969年5月
所在地: 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-6-5 九段会館テラス3階
事業内容:・電話等による連絡業務代行、接続サービス、情報の収集処理、提供業務
     ・企業及び各種団体の各種相談窓口業務
     ・インターネットを利用した福利厚生・健康管理に関するサービスの提供
     ・企業の経営に関するコンサルティング業務
     ・企業家育成事業
URL : https://www.dsn.co.jp/

【当プレスリリースに関する報道関係からのお問い合わせは、 下記にお願いいたします。】
ダイヤル・サービス株式会社 広報・制作チーム 佐藤・笠原
電話番号:03-6238-7111
メールアドレス:dial-press@dsn.co.jp